ひかるの読書

ビジネス書を中心に気に入った言葉をご紹介!

吉原由香里「女性のための囲碁の教科書」

囲碁の知識ゼロの人にオススメ

囲碁の入門書を色々探してみたんですが、この本がいちばんわかりやすいですね。

  • 説明図の石数が少ないから、パッと見で嫌にならない
  • 「基本的な石の取り方&逃げ方」に結構なページを割いている
  • 物腰の柔らかい雰囲気だし、礼儀についてうるさく言わない

が他の入門書よりも優れていると思います。



女性のための囲碁の教科書―初心者でも簡単に始められる入門編

女性のための囲碁の教科書―初心者でも簡単に始められる入門編

小林覚「なぜヤキモチをやめると碁に勝てるのか」

囲碁の簡単なルールがわかる人にオススメ

初心者の間違いやすいポイントを「ヤキモチ」という言葉に集約してるのがスゴい。

囲碁」と「ヤキモチ」のミスマッチ感が素敵です。



なぜヤキモチをやめると碁に勝てるのか? (囲碁人ブックス)

なぜヤキモチをやめると碁に勝てるのか? (囲碁人ブックス)

木村進太郎「マンガでわかるキャバクラ嬢の心得」

同伴のコツはお金のかかる子と思わせないこと。

お客様の負担軽減と同時に、安い食事だと「エッチができなくても文句は言えないな」と男性側が感じるから。

「この子は口説けなくてもいいから長い付き合いをしていきたい」とお客様に思わせるのがプロ。

そのため、キャバクラ嬢は安くて雰囲気のいい店を日頃からリサーチし、男性側に提案するのが大事なんだそうです。



マンガでわかるキャバクラ嬢の心得

マンガでわかるキャバクラ嬢の心得

向井邦雄「お客様がずっと通いたくなる極上の接客」

動作の基本は「緩・急・緩」

「動きに緩急をつけなさい」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。

そこに、ある特定の規則性を持たせメリハリのある動きにするのが「緩・急・緩」です。

動きはじめと終わりはゆっくりと、そして間の動きは素早くするのです。

例えば、グラスを移動する場合、最初にグラスを持つ時はゆっくり、宙に浮かせたら素早く目的の場所まで動かして、最後に置く時はまたゆっくりと。

これは、自動車でスピードを出す時のアクセルとブレーキの使い方にも似ています。

大切なのは "絞り込む" こと

もちろん集客だけではなく、内装や店内の装飾品、流す音楽、提供するメニュー、メニューのネーミング、話しかけるタイミングや会計のしかたまで、すべてがイメージに合ったお客様がより喜ばれ、常連様になりやすくなるのです。

お客様を絞り込むということは、「お客様の心に留まりやすくなる」ということと、「店側がお客様をイメージしやすくなる」というふたつの大きなメリットがある、ということをわかっていただけたと思います。

それを踏まえたうえで、あなたがすることはひとつです。

「自分が理想とするお客様に喜ばれる接客とは、どんなものかをとことん追求する」こと。

クレームがなくなる!? 灯台下暗しな接客術

私の経営する店はエステサロンですが、開業当初、客単価は5000円ほどでした。

それが今では2万5000円と、約5倍にまで上がっています。

ここはよく勘違いされがちなのですが、決して値上げをしたのではありません。

値上げをするのではなく、より価値の高いメニューや商品、サービスを提供していくことでお客様の使われる金額が変わり、お客様の層が変わっていったのです。

そう、ここが大事です。

商品がよくなり、全体の価格が上がると共に離れていったお客様も多くいました。

一方で、その価格と商品に価値を感じるお客様が集まってくださったのです。

もちろんオープン当初から通ってくださっているお客様は、今もいます。

それらのお客様も、金額ではなく、メニューやサービスに価値を感じてくださった方なのでしょう。

「金持ちけんかせず」という言葉をご存知でしょうか?

私のサロンのオープン当初、設備も技術も接客も最大限の努力をしているのに、クレームをいって来られたお客様は、たいていある偏った層の方でした。

それは、クーポンなどで安いから試しに来られたお客様。

毎回、値段を気にして、少しでも安いメニューを好むお客様。

「なんで私にはこのサービスがつかないのよ」
「あの人のほうがよいものなんじゃないの?」

など、他のお客様よりも少しでも得をしたいという思いが、粗探しからクレームへとつながっていったのでしょう。

しかし、少しずつ単価が上がり、安いメニューがなくなった時点で、これらの方は来られなくなりました。

(中略)

そもそも、半額で来る人や返金目当てで来る人は、本来の価値に見合った定価を定価だとは思っていません。

半額=定価、返金(無料)=定価だと思って来店してくるのです。

その店や商品に価値を感じていない人ですから、満足もしない、不満に感じる、クレームを言うという流れになっていくのでしょう。

お客様の生活レベルを知る

大事なのは、あなたの理想とするお客様が、ふだんどのような店に行き、どのような金銭感覚で生活しているのかをしっかりと理解するということです。

よいものには金額を惜しまず、時間もあり、クレームがない。

もし、そういうお客様を理想のお客様だと思うのなら、そのお客様の生活レベルを知り、そのお客様と同じ価値観になり、同じ判断基準で接することが重要なのです。

そのために、なるべく高級な店や文化に触れ、そこでどのような接客やおもてなしがなされているのか、知っておくことが有効でしょう。

(中略)

「よいものには金額を惜しまず、時間もあり、クレームがない」理想のお客様のことをよく「富裕層」などという呼び方をしますが、富裕層のお客様を増やしていくには、内外装設備やメニューの内容、金額だけではなく、ちょっとしたあなたの思考や言葉が大きな影響を及ぼすということを知っておいてください。

1回目と2回目はまったく違う

多くのサロンから私に寄せられる悩みでいちばん多いのが、「集客の悩み」です。

「新規のお客様が来ないので、なかなか売上が上がらない」
「常連の方はリピートしてくださるのですが、顧客の絶対数が少ない」

など。

実は私から見たら、これは大きな勘違いです。

リピーターの方が多いのに集客に困るわけがない」というのが私の考えです。

もちろん新規客を増やすことはできます。

様々な手法を使えば、あっという間に今の倍、いや10倍にすることも可能でしょう。

でも、大事な部分に気づかなければ、いつまでも同じことを繰り返すだけです。

考えてみてください。

少しずつでも新規のお客様が来られているのに全体の客数が増えないということは、それ以上に常連のお客様が離れてしまっているということです。

もしも常連のお客様が離れることなくずっと通い続けてくださっていれば、どんなに新規の数が少なくても全体の客数が減るわけなどないのです。

そこに気がついていないから、いつまでも新規が少ないと悩み続けることになるのです。

(中略)

まずはお客様が離れていかないように全身全霊を傾けることです。

1回目の来店と二度めの来店で、同じように接していたのではそれは実現しません。

はじめての来店よりも、リピートしてくださることのほうが遥かに奇跡です。

それだけの歓びをもって接しましょう。

人は、同じ事を繰り返すとやがて飽きていきます。

2回目、3回目、同じことを繰り返していたのでは、そのうち飽きて他店に移って行ってしまうことでしょう。

「そういえば昔よく通ってくださっていた○⭕様、最近見かけないな……」などということが、よくあるのではないでしょうか。

1度目よりも2回目、2回目よりも3回目、10回目、100回目。

来られれば来られるほど感動するような接客、毎回驚きと感動に満ちた接客を心がけることこそが、ヤカンのお湯を沸騰させ、熱い上級を吹き出すこと=利益を生み出すことにつながるのです。

安保徹「疲れない体をつくる免疫力」

仕事の疲れは「仕事中に取る!」が基本

疲れをためないためには、疲れが発生したその時、直後に、こまめに取る習慣をつけられるかどうかが勝負です。

「運動する時間がない」
「スポーツクラブに入ったが、通えなくて退会した」

そうした話をよく聞きますが、わざわざ仕事時間とは別に、まとまった時間を取ろうとするから、できないのです。

(中略)

疲れがたまって、体が壊れてからでは、遅いのです。

ONの日こそ疲れをためない生活を、ぜひ習慣にしましょう。

肩と背中のこりがみるみる消える、8の字体操

  1. 両腕を自然に上げる。肩幅の広さに。
  2. 両手で床面と平行になるように頭上に大きく「8の字」を描く。
  3. 上体の力を抜く。
  4. 上半身をゆっくり、のびのび回す!
  5. 腕だけを回すのではなく、手先から腰までの一本の軸を意識。

短時間で驚くほど腰がほぐれる! 腰なでなで体操

  1. 全身の力を抜いて立つ。両膝を軽く曲げる。肩幅よりやや広めに。
  2. 右足に重心を乗せつつ、右手で太ももをなでるように下ろす。お腹と腰の横が伸びて気持ちがいい。
  3. 左足に重心を乗せつつ、左手で太ももをなでるように下ろす。肩だけを真横に落とすのがコツ。手は、ひざ近くまではなでおろす。

2と3をリズミカルに繰り返す。



疲れない体をつくる免疫力 (知的生きかた文庫)

疲れない体をつくる免疫力 (知的生きかた文庫)

スピッツ「旅の途中」

マサムネの歌は高いキーで、もっと張って歌ったほうが聴き手に届くよ

日本が誇るべき変態バンド、スピッツ

J-POPの代表として祀り上げられてますが、歌詞の世界観は全くもって健全ではありませんw

それは置いておいて、スピッツが売れるキッカケになったのは、プリンセス・プリンセスユニコーンなどを手がけたプロデューサー、笹路正徳さんとの出会いです。

この本の魅力は、笹路さんの素晴らしすぎる人柄がわかること、この一点に尽きますね。

笹路さんはバンド全体に厳しい言葉を与える一方で、メンバー個々に接し方を変えてアドバイスをしたり、相談に乗ったりしていました。

また、スピッツの曲を理論と実践の両方から説明し、4人が無意識に好き勝手にやってきたことをきちんと解剖して、分析していました。

例えば、

「新しいアルバム(『Crispy!』のこと)のデモテープを聴かせてもらったけど、メロディアスな曲をやろうとしているみたいだね。だったら、持続音が表現できる楽器があったほうがいい。キーボードやストリング、ホーン。とくにキーボードが必要だね。」

「頭一拍置いて、たとえばキーがCのとき "ミ" で始まる曲、三度で始まる曲が多いね。それをちょっと変えるだけで、曲の印象が変わるよ」


のように。

ボーカルのマサムネにとって、これらは新鮮で納得できることが多かったようです。

マサムネは他にもこんなアドバイスを受けています。

「マサムネはハイ・トーンにいったときの声がいいんだから、それを使わない手はないよ」

その言葉を聞いて、目からウロコが落ちた気分だった。

実のところ、俺(マサムネのことです)はハイ・トーンの自分の声が嫌いだった。

ハイ・トーンは出しやすいことは出しやすくて、スピッツを結成して一年くらいの、ブルーハーツっぽいビートパンクの曲を歌っていた頃には高い音を出して歌っていた。

けれど、ロックはクールにという、いま思えば誤解もいいところの思い込みがあって、その後はわざとキーを低く設定して歌っていた。

とくに笹路さんと出会う直前のアルバム『惑星のかけら』では、当時流行していたグランジ・ミュージックの影響があって、わざと声を低く、ウィスパーっぽく歌おうとしていた。

笹路さんはそんな俺の思い込みを壊してくれた。

「マサムネの歌は高いキーで、もっと張って歌ったほうが聴き手に届くよ」

俺はその頃もまだ、仕方なく歌っているボーカリストなんだ、という意識がどこかにあった。

自分の声が好きではなかったし、自分の声に惹かれて聴いてくれている人なんてほとんどいないとさえ考えていた。

スピッツが売れないのは、俺の声が嫌われてるからじゃないのか、と考えていたくらいだ。

俺は楽曲で勝負しているんだ。

ボーカルは二の次さ。

そう思おうとしていた。

だから、笹路さんに声について言われたときには、嬉しかったというよりもびっくりした方が大きい。

それまでも「声がいいよね」と言われたことはもちろんあるけれど、たいていのボーカリストがそう言われていると思っていた。

俺は褒め言葉を真に受けるほうではないし、人間が疑り深くできているから。

それでも、笹路さんの言うことなら信じてみようか、そう思わせる "笹路マジック" が俺の歌を変えていった。


マサムネの闇の部分が垣間見えますが(笑)、この本を読んでいる僕も笹路マジックの素晴らしさに感銘を受けてしまいます。

褒めるっていうのはいいことだなーって。


俺のアルペジオ

そんで極めつけは、ギターの三輪テツヤに対するアドバイスですね。

俺は自分のギターに自信をなくしていた。

高橋さん(事務所の社長)に「デビューの頃から上達していない」と言われたことが堪えていた。

ギタリストは世の中にたくさんいる。

でもギタリストって何だろう。

そんな疑問が心のどこかに常に引っかかっていた。

(中略)

そんなときに笹路さんが「リズム感がいいよ」と言ってくれた。

自分でもリズム感がいいとは思っていたから、「笹路さん、わかってるなあ。信じちゃおう」と思ったのだ。

俺は褒めたら伸びるタイプだったのかもしれない。

笹路さんはそこまで見抜いて、一流のプロデュース・ワークでそう言ったのかもしれないけど、俺には嬉しい言葉だった。

(中略)

笹路さんと俺は家が近かったので、よくレコーディングの行き帰りにクルマで送ってもらった。

そのときもいろいろな話をした。

笹路さんは俺と話すことで、スピッツというバンドを理解しようとしていたんだろう。

しかし、俺にとっては、笹路さんと話すことで、ギタリストとしての自分を作っていくきっかけを持てたと思っている。

俺がアルペジオに自信を持てるようになったのは、笹路さんと出会ってからだ。

それまでは、アルペジオが嫌いだった。

俺にはそれしかできなかったから。

アレンジでも、思い浮かぶのはアルペジオばかり。

マサムネの作ってくるコード進行にアルペジオを乗せる方法論がぜんぶ一緒で、そんな自分の手癖みたいなものが嫌だった。

でも、笹路さんは俺のアルペジオを個性として認めてくれた。

「普通はみんなアルペジオは嫌がるぞ。テッチャンはアルペジオが本当に好きなんだな。アルペジオの歩いていくような運指ができるギタリストはそんなにいないよ。それがテッチャンの個性なんじゃないか」

笹路さんは俺に、スピッツというバンドのギタリストであることに誇りを持たせてくれた。

そしてさらに、アルペジオの音の粒立ちを揃えたほうがいいといった、アドバイスもしてくれた。

「テッチャンの方法論を別のバンドに使ってみようとしたけれど合わなかった。マサムネのコード進行だから上手くいくんじゃないかな」

その言葉を聞いたとき、スピッツというバンドの中に自分の居場所を見つけた気がした。

バンドのギタリストとして成長したい。

本気でそう思うようになった。


笹路さんの言葉がイケメンすぎるんですけど……

笹路さんとの出会いを通じて、スピッツは「空も飛べるはず」「ロビンソン」「チェリー」など数々の大ヒットを飛ばしていくのです。

褒めるっていうのはこういうことかというのがわかる1冊です。



旅の途中

旅の途中

高城剛「カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ!?」

カジノとIR、ふたつの道

IRの真髄は、税金を使わずに街のランドマークをつくることだ。

あくまでもカジノは、巨額投資をしてもらう企業への担保に過ぎない。

そして、そのカジノの顧客は、成熟した都市であるならば、自国民であってはならない。

これが、すべてである。


ラスベガスを賭場から家族向けのアトラクションの街へと変えたのが、スティーブ・ウィン。

一方でラスベガスをビジネス・コンベンションの街へと導き、IR(統合型リゾート)というコンセプトを展開したのが、ジェルドン・アデルソンです。

そもそもカジノ=IRだと僕は思っていましたが、IRというのは複合施設のことで、その中の1つにカジノがあるというイメージなんですね。

ジェルドン・アデルソンは、ラスベガスをビジネス・コンベンションが中心となる街へとつくり変えることを考えていた。

勢いがある産業に従事したり、勢いがある会社で働いているビジネスマンたちは、総じて金回りもそれなりで、会社からの経費も潤沢だ。

そのような「ニューリッチ」を「カジノ」とは関係なく集めることができれば、結果として「カジノ」も含め、街ごとすべてうまくいくだろうと、アデルソンはCOMDEXの大成功の経験から理解していた。

1988年、アデルソンらラスベガスの「サンズ・ホテル・アンド・カジノ」を買収し、翌年に「サンズ・ホテル」を開業。

さらに1年後となる1990年には大型見本市(コンベンション)を開催できる「サンズ・エキスポ&コンベンションセンター」を設立し、MICE(Meeting「会議・セミナー」、Incentive tour「報奨・研修旅行」、Convention「大会・学会・国際会議」、Exhibition「展示会、見本市」の頭文字をとった用語)施設によって集客する複合リゾートの実現に向かったのだ。


いわゆる観光コンベンションというのがIRのイメージで、カジノそのものが目的ではなく、仕事やイベントのついでにカジノへ来てもらうという発想なんですね。

この辺の詳しいことや海外の事例についてはぜひ本書を読んでもらいたいのですが、高城さんは今ある施設や街並みを有効活用することが必要だと述べています。


廃墟を最大限に生かしたアレンタウン・ベツレヘムのIR

注目すべきは、いまだかつてない斬新さだ。

一般にIRといえば、シンガポールのマリーナベイ・サンズのようなカジノを含んだ近代的な施設をイメージするだろう。

最新建築の高層ビル群とエンターテインメント施設が並び、そこには数億円から数十億円規模の莫大な投資がされている。

しかし、「サンズ・ベツレヘム」が陣取る跡地は、まったく違っていた。

本書扉の写真はその外観だが、窓ガラスが割れ、朽ちかかった工場跡を、まるで最近発掘された遺跡のように保存し、その一角にホテルとカジノを開業したのである。

この街の4分の1程度は工業地帯であり、サンズがやって来るまではすべて荒涼とした廃墟のままだった。

こうした巨大工場の廃墟を古代ギリシャの神殿のような歴史的遺産と捉え、廃墟の周辺に歩行者用ゾーンを設置し、完全に観光地化しているのだ。

端から端まで歩けば30分ほどの観光ゾーンの要所には、「鉄がどうやって作られていたか」などをガイドする看板も設けられ、スーベニアショップではかつてのベツレヘム・スティールによるノベルティ製品なども販売されていた。

まるでスチームパンクの世界観をそのまま現実化したような印象で、僕はそのセンスのすばらしさに圧倒された。



またこの街では、毎年夏に全米最大の無料野外音楽フェスも開催している。

1984年から、毎年8月の1週目にベツレヘムでミュージックフェストという音楽祭が行われてきていたが、現在では、3週間もの長期にわたって開催され、数多くの有名アーティストが出演している。

(中略)

ライブが終わればカジノに出かける人もいるが、僕の見た限りでは、ギャンブルに興じていたのはほとんど中国人観光客立った。

この街はニューヨークから車で1時間半の場所にあるが、実はチャイナタウンからの直行バスが一日に何便も出ている。

つまりは、こういうことだ。

ギャンブル好きの中国人からカジノで巻き上げたその金で、無料ライブを毎夜開催し、多くの人をここに集めて、地域は活性化に成功したのだ。

カジノという収益性の高い施設があるからこそ、他にはできない投資サイクルができる仕組みといえるだろう。

人は、賑わっている場所に行きたいものだ。

(中略)

日本にも廃墟となった工場地帯を抱えたままの地方都市は多くある。

だが、ベツレヘ厶はそうした負の遺産を逆手に取り、サンズの力を借りて地方創生に成功したのだ。



このアイデアとセンス、日本の地方都市でサンプリングできないだろうか?

2020年に開催される東京オリンピックに向け、国立競技場の建て替えが注目を集めたが、僕が思うに、人々を惹きつけるのは近代的な新しい建物ばかりではない。

日本では多数の施設においてスクラップ&ビルドが繰り返されて来たが、新しい建物の建設を求めているのは、一般の人々ではなく、利権に絡んだ人々なのだ。

そして、古き良き建物に流れる「かつての時間」は、一度建物を壊してしまえば、どんなにお金をかけても買い戻すことはできない。

日本でも2015年に長崎県端島軍艦島)が世界文化遺産に登録され、2009年以降は一般向けの観光ツアーも実施されている。

廃墟となった炭鉱の島を一目見たいという人々で人気を集めているのも事実だ。

スクラップ&ビルド至上主義の日本であっても、数千年前の遺跡だけではなく、わずか数十年前の建物でも、そこに価値を見出すことはもちろん可能なのである。

サンズ・ベツレヘムのこのやり方は、国家が取り組む大都市観光型IR施策としてら、いささか規模が小さい。

しかし、巨額の費用を投じずとも、カジノを生かす発想力があれば、どんな地方都市でも成功できることを教えている。

これこそが今後の地方創生に必要な「センス」であることは間違いないだろう。


要するにカジノだけ作って「ハイ地域活性化」なんて甘い話ではないってことです。

まずは地域の魅力をどのようにして発信していくのか、その新たな切り口が求められています。


IRは旧来社会システムを変える「ラストリゾート」だ!

IRの成功の鍵は、法案でもギャンブル依存症抑制でもなく、今までの日本式システムを破り、新しい型をつくることにある。

だからこそ、シンガポール同様に外資によるオペレーションが鍵を握ると僕は考えている。



もはや誰もが知るように、期待していた東京オリンピックによる特需は、旧態依然とした経済の仕組みの中へと吸い込まれていった。

ゼネコンや政治家を中心とする旧型社会に食われてしまったのだ。

国を挙げて巨額の費用を投じるラストリゾートとしてのIRは、オールドエコノミーからニューエコノミーに転換する本当のラストチャンスだ。

現在、IR構想に対し、パチンコ産業の大手やアミューズメント機器メーカーが食い込もうと必死になっているが、もしもこれを易々と許せば、旧来型のフレームに収まり、社会システムも経済のあり方もこれまでと変わらないまま続いていくだろう。

その上、IRそのものが失敗に終わる可能性が高く、せっかく誘致に成功した地方都市は再生できずに、国民は疲弊し、結果、日本経済は粛々と終息に向かうだろう。

だからこそ、シンガポールは外国資本を呼び込んだのではないだろうか。

これまでの社会のあり方とはまったく違う外からの力が入れば、客観性は担保され、旧型の構造やそこに棲みつく黒い利権は淘汰できる。

なにより、もし東京でIRを実現するのなら、「シンガポールのサンズの5倍はすごいものをつくらねば勝てない」と僕は考えている。

新しい国立競技場の失敗をくりかえしてはならず、いくらかかっても、これまで見たことのないようなIRをつくらなければならない。

それも人のお金で。



歴史を振り返っても、日本は黒船の来航などの外圧によって変化してきた国である。

長い歴史を持つ国だからこそ、多くのしがらみもあり、自らだけで変わるのはとても難しい。

もはやIRの成功は、カジノや観光収入だけの問題ではない。

それは、戦後長く続いてきた社会システムを刷新し、日本が再生するために、そして、この国家が長く生きらえていくために必要なことだろうと、多くの地を見てきて実感する。

残されたこの最後の楽園が、旧来型の人々の欲望に食い尽くされぬことを、僕は心底願ってやまない。

山本太郎さんが国会答弁で言ってましたよね。

「カジノ法案はセガサミーのためか!」

って(笑)

高城さんが危惧しているのが現実化しそうだなーというのが正直なところ。



カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ! ?

カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ! ?