ひかるの読書

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内田樹「困難な結婚」

結婚前の人は、したくなる。
結婚している人は、気楽になる。
そのためにこの本を書きました。


タイトルが刺激的。

内田さんの主張は同意できることばかりなので、いくつか紹介したいと思います。


結婚しちゃえばだいたい同じ

外ではけっこうややこしいネゴをまとめたり、てきぱきと会議を仕切ったり、複雑なアルゴリズムを解析したり、5ヵ国語を駆使して談笑できるおじさんたちだって、いったん家に帰って、風呂上がりにジャージなんか着て「げふ」とか言いながらビール飲んでると、外形的にはピンもキリもあまり変わらないでしょ。

外で発揮していたような圧倒的な社会的能力の差異は家庭内では誇示されようがない。

いや、なまじ外で威張っているせいで家でも威張る男よりは、外で苦労しているせいで家では何を言われても弱気にほほ笑むような男の方が配偶者としては楽だったりするわけですよ。

ほんとに。

結婚しちゃえば「男なんてだいたい同じ」なんです。


普通は外ヅラの良さで相手を選びますよね。

けど結婚生活で大事なのは家の中での姿。

家の中でも完璧に生きるのは、まあ無理でしょう。

ほんとに、結婚しちゃえば「男なんてだいたい同じ」なので、理想を追いかけ過ぎるのもどうかと思いますね。


「もっといい人」は現れません

目の前にいる人よりももっとましな相手がいるんじゃないか、ここで手を打ったらあとで後悔するんじゃないか……というのは「自分はこの程度の人間じゃない」という自負の裏返しです。

今の自分が受けている社会的評価はこの程度だけど、ほんとうはこんなもんじゃない。

ほんとうはもっとすごいんだという自己評価と外部評価の「ずれ」が、「こんな相手じゃ自分に釣り合わない」という言葉を言わせている。

でもね、仲人口が持っている話って、実はかなり精度の高い外部評価なんですよ。

(中略)

だから、「え、こんなのやだ」とか言っている人は、「こんなの」と釣り合う配偶者だとあなたは外部から評価されているという事実をかみしめたほうがよろしい。


これはキツいけど真実でしょうね。

ハイスペックな人と結婚したいなら、自分のスペックを上げた方がいい。

相手のことを棚に上げるのはやめましょう。


生活すべてが哲学研究

生きているだけで勉強なんです。

街中で、人々に交わって生活すること。

それが哲学修行なんです。

無駄な時間なんかないんだ。

そう思ったら、ぜんぜん焦らなくなりました。

育児のせいで時間が削られて、自分が本当にしなければならない勉強ができなくなるというふうに思わなくなった。

これは正しいかどうかわかりませんけれど、精神衛生的には非常によかった。

20代から30代にかけては、かなりタイトな競争的環境にいたわけで、いつも横目で同世代の研究者たちの活躍ぶりを眺めてじたばたしていました。

ですから、あの時期に「オレには『こんなこと』で時間を潰している余裕はないんだ!」と言って育児も家事も放り出していたら、たぶん僕はずっと早い段階でつぶれていたと思います。

なんだかんだいいながら、20代の中頃に「哲学をやろう」と決めてから40年間なんとかその専門家としてやってこられたのは、机に向かっている時間以外のすべての時間も「哲学研究」だと思ってこれたからだと思います。

そういう気楽なマインドセットのおかげでさまざまなストレスを回避できた。


すごいわかりますコレ。

家事や育児をしてると自分の時間がなくなってイライラもするし、「こんなのは時間の無駄だ」と感じてしまうんですよね。

しかしこうした「修行」を経験することでオトナへと成長する。

日々勉強であり、無駄なことなど1つもないと教えてくれる文章で、心が救われます。



といった具合に、結婚に関する不安や疑問に答えてくれる本です。

気になった方はぜひ読んでみてください!



困難な結婚

困難な結婚