架神恭介「完全教祖マニュアル」
310冊目到達。えらいえらい(*^^*)
320冊目指して頑張ろう♪
宗教の歴史や特徴を学べる教科書本はたくさんありますが、教祖になるための教科書ってないと思いませんか?
100人中100人の方が、「オマエ教祖になって何すんだよw」と思われるでしょう。
てか僕もそう思いますw
しかし教祖=経営者・支配者です。
そこからの視点を獲得できれば、ビジネスの現場で活かすこともできるはずです。
「彼らは普段何を考え、どの手順で勢力を拡大していくのか」を踏まえた提案をすれば彼らに喜ばれるでしょう。
また、皆さんが経営者としてビジネスを始める際にも役立つと思います。
そんなわけで、「教祖になるための教科書ってないかな~?」と思って探している時に見つけたのがこの1冊。
架神恭介さんの『完全教祖マニュアル』だったわけです。
早速この本を読んでみましたが、宗教の歴史や特徴を踏まえた上で教祖になるための方法を解説していて非常にわかりやすいです。
ですので「教祖なんか興味ねーよ!」な人に限らず、単純に「宗教とは何か?」を学びたい人にもオススメできる1冊です。
もちろん、「俺、教祖になりたかったんだよねー」という方は速攻買ってください(笑)
というわけで、僕がこの本を読んで感じた、みなさんに気づいていただきたい大事なポイントを紹介していきます。
こちらの本を買う時の参考にしてみてください。
宗教の運営方法に着目
僕がこの本を読んで思ったのは、「宗教の特徴を羅列した本は多いけど、宗教の運営方法に着目したのはないよなー」ということ。
「宗教」というくくりでは同じですが、信者と教祖では必要なスキルが大きく異なります。
教祖になる上で必要な教義の作り方、布教の仕方、甘い汁の吸い方などを知りたい方は、ぜひ手に取ってみてください。
目次から面白い!
では『完全教祖マニュアル』には何が書かれているのか。
まずは目次から見てみましょう。
一部抜粋して引用します。
第二章 大衆に迎合しよう
【コラム】創価学会と現世利益第六章 布教しよう
弱っている人を探そう
金持ちを狙おう
【コラム】お金を巻き上げる宗教第八章 甘い汁を吸おう
出版しよう
不要品を売りつけよう
免罪符を売ろう
【コラム】免罪符でキミもマリアを犯そう!
といった感じで、目次からすでに面白いです。
「弱っている人を狙おう」とか「不要品を売りつけよう」とかヤバいっすね(笑)
面白い文体なのでサクサク読める
『完全教祖マニュアル』の中身を開いてまず印象的だったのが、文体が面白くてサクサク読めるという点。
例えば「はじめに」の文章。
教祖は決して難しいものではありません。本書を読めば誰でも簡単に教祖になることができます。
本書は様々な宗教の分析から構築された極めて科学的なマニュアルです。科学ですから決して怪しい本ではありません。
皆さん、本書を信じて、本書の指針のままに行動して下さい。本書の教えを遵守すれば、きっと明るい教祖ライフが開けるでしょう。
教祖にさえなれば人生バラ色です!
あなたの運命は、いままさにこの瞬間に変わろうとしています!
本書を信じるのです。本書を信じなさい。本書を信じれば救われます。
半分宗教をバカにしたような言い回しw
この勢いで語るので、最後まで飽きずに読めちゃいます!
『完全教祖マニュアル』で学べること
で、気になるのはやっぱりその中身でしょう。
「この本には何が書いてあって、どんなことを学べるのか?」という部分が一番気になるところですよね。
この本を読んで学べることは何かを、すべてはわからない程度にお伝えしていきます。
あまり伝えすぎても実際に読んだときの楽しみが半減してしまいます。
続きが気になる方は、ぜひご自身の目でお確かめあれ!
学べる内容まとめ
この本を読んで学べる内容をざっくりまとめるとこんな感じ。
では、それぞれで学べることを少しだけ紹介していきます。
教祖は人をハッピーにするお仕事
そもそも教祖ってなにをするんでしょう?
『完全教祖マニュアル』はこう答えています。
教祖は人をハッピーにするお仕事なのです。
イエス・キリストは何をしようとしましたか? 戒律により硬直化した社会を打破し、人々をハッピーにしようとしたのです。
釈迦は何をしようとしましたか? 輪廻転生によるカースト制度を打ち破り、人々をハッピーにしようとしたのです。
(中略)
教祖はお金も稼げますが、お金を受け取るのは、あくまで人をハッピーにした代価です。
騙して巻き上げているわけではないのです。
じゃあ社長との違いは?
社長でもお金稼げるよね?
という問いへの回答は、本書を読んでみてご確認ください。
新興宗教はナウい宗教
教祖が素晴らしい職業だと仮に納得できても、宗教に対して否定的な感情を持つ人もいることでしょう。
特に「新興宗教」なんて単語を聞いた瞬間、多少なりとも胡散臭さを感じると思います。
しかし、キリスト教や仏教などの伝統宗教だって最初は新興宗教でした。
新興宗教は歴史が浅いというデメリットはありますが、逆に言えばいま最も新しい宗教、つまりナウい宗教であるとも言えるのです。
例えば、仏教の「女性は仏になれない」なんて現代の感覚では受け入れ難いです。
これは仏教の問題ではなく、時代の問題です。昔は男女平等という発想がなかった。
しかし新興宗教は、「いま」の問題に立ち向かえます。
新興宗教はヤバい宗教ではありません。
ナウい宗教なのです。
宗教の本質は反社会性
宗教とは社会の安定と人々の道徳心向上に役立つもの。
こんな風に考えている人はいませんか?
残念ながら、それは見当違いですね。
宗教の本質は反社会性であり、社会が抱える問題点に根ざして発生するのです。
当然、現代でも当てはまります。
皆さんは教祖となって人々をハッピーにするのがお仕事ですが、そもそも、現在不幸な人というのは、社会の提示する価値基準に照らして不幸なわけです。
つまり、貧乏だとか、恋人がいないとか、出世できないとか、そういうことで不幸になっているのですから、あなたは彼らに社会とは別の価値基準を提供すれば良いのです。
「お金なんかない方が幸せだ」
「家族など修行の妨げである」
「世俗の出世に何の意味があろうか」などなど。
どれも反社会的ですが、こうすることで社会的弱者である彼らを、別の価値基準、つまり、あなたの提供する価値基準でハッピーにすることができるのです。
ですから、あなたのすべきこととは、
①社会の基準で幸せになれない人を見つける。
②反社会的な基準を与えてその人を幸せにする
事だと考えて下さい。一例を挙げるなら、ニートを幸せにする価値基準などを考えれば良いでしょう。
これには仏教が参考になるはずです。
社会に反する新しい価値基準をあなたが提唱し、「負け組」の人を「勝ち組」へと変える。
そして、あなたが救いたいと思っている人をハッピーにしてあげましょう!
また、仏教もキリスト教も儒教もイスラム教も、伝統宗教と呼ばれているものは、どれも反社会的なものばかりです。
なぜそう言えるのか?
それは本書を読んでご確認ください。
この本を読んで僕が感じた最も重要なこと
ここまでで、教祖や宗教の本質について知ることができたと思います。
けどこの本の面白さはこんなもんでは終わりません。
僕がこの本で一番伝えたい内容、それを皆さんに感じてもらいたいです。
それがこちら・・・
不安を抱いていない人に対し、「お前は実はすでに困ってるんだぞ」ということは有効だ
の1文。
キリスト教も仏教も、「このまま生きてるだけでも地獄に落ちるから、お祈りしたり修行したりしろ」と言ってきます。
それらが成立するまでは、「死んで地獄に落ちるのは困る」と認識してる人なんていなかったでしょう。
人々に「実は困っている」と認識させるのは、経営者の視点から見ると非常に重要なテクニックです。
そしてこれは宗教に限った話ではなく、現在進行形で利用されています。
ちなみに現代において、この手法でもっとも成功している事例が「エコ」というアイデアでしょう。
エコは私たちを常に「困った状態」にしています。
このまま手をこまねいていると、近い将来地球環境が悪化して住めなくなってしまいますよ。私たちはすでに困った状態にあるんですよ。
だから、私たちは危機感を持ってエコに取り組まなければならないのですよ、とエコは言っているわけです。
このままだと本当に将来困るのかどうか筆者は知りません。
しかし、少なくとも今のようにエコが声高に叫ばれるまで、私たちに「困っている」という意識はなく、その意味では私たちは「困っていませんでした」。
ですが、そこにエコというアイデアが 現れたことにより、「そうか、気付かなかったけどオレたち困ってたのか」となり、私たちはクーラーの設定温度を上げたり、米のとぎ汁を庭の植木にかけたり、ブランド物のエコバッグを買い漁ったりするわけです。
つまり、キリスト教が「そのまま生活してると死んだら地獄に落ちますよ」と言っているように、エコは「そのまま生活してると将来地球に住めなくなりますよ」と言っているのです。
「死んだら地獄に落ちますよ」だと、「何言ってんだこいつ」と思う人はいても、「将来地球に住めなくなりますよ」なら、「それは大変だ」と感じる人が多いことでしょう。
別にエコが疑似科学だとか宗教だとか言うつもりはありませんが、これは教祖を目指すあなたにとって大変参考になる事例だと思います。
ということで、一番勉強になったのは「不安を煽る」ことの重要性。
そしてこれは、「何も宗教に限った話ではない」と思わされたことです。
宗教や支配の本質をもっと知りたいという方は、ぜひ一度手に取ってみてください!
- 作者: 架神恭介,辰巳一世
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/11/01
- メディア: 新書
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