吉田典史「ビジネス書の9割はゴーストライター」
教育とは、希望を与えるのではなく、絶望を教え込むもの
ゴーストライターの名前を本に載せるべきなのと、ゴーストライターの仕事は大変だから舐めんなよっていう本。
都内に住んでライターの収入だけで家族を養い、十年以上にわたって生きていく人はごく少数だ。
二十年を超える人は、数えるほどしかいない。
一人で生きていくことも、会社員よりははるかに危険が伴う。
人生設計のめどがいつまでも立たない。
ゴーストライターの仕事が、その暗闇から抜け出す一つのきっかけにはなるのかもしれない。
だが、これも壁はいくつもある。
本書は、それらのハードルを乗り越えようとするときのたたき台にしてほしいと願い、書き上げた。
出版社、編集者がゴーストライターを使わざるを得ない理由は、
- そもそも著者に本を書く能力がない
- 書いたとしても専門用語を多用したり一文が長すぎたりで商品の価値がない
- 出版社が本を作り過ぎ
などがあり、出版のスケジュールを守るためにゴーストライターを使わないといけないのです。
文章を書く能力がない著者本人に任せてたら、いつまで経っても原稿が完成しません。
それでは売り上げが確保できないため、著者は名前だけ出し、文章はゴーストライターが書くという図式ができあがるのです。
はじめに「集客力がある著者ありき」
別の言い方をすると、出版社や編集者にとって、本が売れる可能性がある人なら、著者というのは誰でもいいのです。
多くの編集者が、著者がもつ「売れる仕組み」に目をつける。
だが、それが本を売る際に必ずしも機能するとはかぎらない。
(中略)
ビジネス書の著者になりたい場合、文章力の向上を目指すべきではない。
わたしの経験でいえば、自分で文章力を上げるのは不可能である。
むしろ、何らかの仕事で高い実績を残し、一目置かれる存在になることが大切だろう。
そして、ファンが押し寄せるコミュニティーを作る。
さらに、ブログや「Twitter」「Facebook」などを効果的に使い、それらが編集者の目にとまるようにアピールする。
これを一、二年続ける。
ビジネス書の編集者ならば、何らかのアプローチをしてくるのではないかと思う。
彼らは、文芸書や小説の編集者のように本を読まない。
文章が好きなわけでもない。
この事実をふまえると、文章力を身に付けたところで意味はない。
彼らが注目するのは、集客力なのである。
集客力は、売れる可能性を秘めている仕掛けや仕組みと置き換えてもいい。
著者がこうした力を備えていれば、編集者はアプローチしてくる。
出版界の実情をふまえると、それが誤りだとは思えない。
むしろ、たたえられることではないだろうか。
著者のネームバリューは大事ですが、肝心の著者は文章力がない。
けど売り上げのためには、コンスタントに本を作らないといけない。
こうした矛盾からゴーストライターは必要とされているのです。
- 作者: 吉田典史
- 出版社/メーカー: 青弓社
- 発売日: 2014/05/25
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