島田裕巳・中田考「世界はこのままイスラーム化するのか」
欧米諸国がどれだけイスラーム世界をぶっ壊しているか。
「イスラーム=怖い宗教」のイメージだけが流布されている日本。
こうした現実に気づかせてくれる本でした。
イスラームに進歩はない?
西洋的な進歩史観は、近代に生まれた新しい考え方。
仏教の末法思想のように、世の中はどんどん悪くなるという考え方が昔の主流。
同じ生活を繰り返すイスラームには、そもそも進歩という概念がありません。
重要なのは、預言者ムハンマドとの空間的・時間的な距離。
時代を経るに従って進歩ではなく退歩していくのです。
その退歩の果てにあるのが、最後の審判なんだとか。
世の中は良い方向に進んでいくのが、当たり前で正しい考え方だと思っていました。
しかしそれは歴史的に新しい考え方なんですね。
退歩主義・末法思想が昔の主流だったことを知れて勉強になりました。
そして欧米諸国がイスラームに進歩主義を持ち込んで、イスラームの理念を破壊しているなと思いました。
進歩主義と聞くとポジティブなイメージを持ってしまいますが、それすらも仕組まれた戦略だと勘ぐってしまいます。
怖い怖い。
西野亮廣「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」
大論争を巻き起こした絵本無料公開の理由についてはぜひ本書で確認してほしいです。
「アンチを手放してはいけない」
あれだけ叩かれてもこう言い切る西野さん。カッコいいと思ったけど東野さんが絶対イジりそうw
キンコン西野さん、オセロ最強説
こう見えて、実は算数はベラボーに得意で、ちなみにオセロは負けたことがない。是非、今度、負け方を教えていただきたい(156ページ)。
西野さんに負け方教えたい(笑)
瑛太vsキンコン西野とかやったら面白そう。
ここからは、本書で印象的だった所を引用していきます。
著作権の必要度は人口に左右される
あるキャラクターを10人ではなく1億人に無料で使われると、「1億人が使っている」という価値が生まれる。
すると企業から「コラボがしたい」という話や講演会、出版の話が来る。
著作権を守るべきかどうかは時と場合によるのです。
本を1万冊購入した時に手に入るもの
広告に使えるアイテム、絵本1万冊分の領収証が手に入る。
その額、実に「2435万1138円」。
あとは「2435万1138円」の領収証を写真に撮ってインスタグラムにアップするだけ。
これほどフォトジェニックな紙ペラはなかなかない。
勇気がないからではなく、情報がないから一歩を踏み出せない
勇気のせいにしてはいけない。
今、あなたが行動できていない理由は、あなたが情報収集をサボっているせいだ。
勇気がないんじゃなくて無知なだけ。調べることは誰でもできます。
面倒がらずに情報収集しよう!
- 作者: 西野亮廣
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/10/04
- メディア: 単行本
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鈴木大介「脳が壊れた」
脳梗塞を発症して高次脳機能障害が残った筆者の、深刻なのに笑える感動の闘病記。
かつて取材したコミュニケーションが苦手な人、貧困や強いトラウマから挙動不審になってしまう人・・・
病気になって気づいたのは、彼らと筆者の現状が酷似していることだった。
高次脳機能障害者の多くはこの不自由感やつらさを言葉にすることもできず自分の中に封じ込めてただただ我慢しているのかもしれない。
それは高次脳と症状の出かたが酷似している発達障害や精神疾患などの患者も同様だろう。
だとすれば、世の中にはいったいどれほどの数の、「言葉も出ずに苦しんでいる」人々がいるのだろう。
不自由なのに、わかってもらえない。
それを言葉にすることもできない。
自分に苛立ち、周囲の人に八つ当たりでもすれば、自己嫌悪につながる。
自分の症状を説明することは諦めて心を閉ざし、社会の中で孤立するのである。
何年も執拗に続いた夫のDVと離婚のショックからメンタルを深く病み、精神科から処方される抗鬱薬に依存するようになっていた彼女は、床に落ちた小銭を震える指先で一枚一枚集めながら、ぼたぼたと大粒の涙を床に落とした。
最後は小銭集めを諦め、レジにグシャグシャの五千円札を叩き付けるように置き、漫画のように鼻水をプランと垂らしながら釣り銭ももらわずに店を出た彼女に、なんとキレ易い人なのだろうと思った僕だったが、いま僕は痛いほどに彼女の気持ちがわかる。
(中略)
そして思うのだ。
彼女のそばに、今僕を支えてくれているリハビリ医療があれば、どれだけ強力な支援となっただろう。
孤独と混乱の中にある生活困窮者や貧困者には、この「認知のズレ」が共通して存在する。
ならば彼ら彼女らに必要なのは、いち早く生産の現場に戻そうとする就業支援ではなく、医療的ケアではないか。
それも精神科領域ではなく、僕の受けているようなリハビリテーション医療なのではないか。
世の中を生きているのは健常者だけではない。
見た目や言動だけで「異常者」のレッテルを貼ってはいけない。
それは非常に難しいことではある。
それでも彼らの「言葉にできない辛さ」を事前に理解し、救いの手を差し出せるようにしたい。
そんな内容の本です。
- 作者: 鈴木大介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/06/16
- メディア: 新書
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樋口毅宏「タモリ論」
タモリ論よりは「笑っていいとも論」の方が適切な内容。
「やる気のある者は去れ!」
というタモさんの名言(いいとも出演が決まったベッキーがこの言葉に超ビビってたw)や、ジャズ・鉄道・地形からの考察もすべき。
けど、いいともの裏話は読んでて面白かった。
- 作者: 樋口毅宏
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/07/13
- メディア: 新書
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千田琢哉「ギリギリまで動けない君の背中を押す言葉」
- ボツになった企画の山が、その人の可能性。
- エリートコースから外れると、王様コースが待っている。
- 「ごめんなさい」のバリエーションが、人生の幅を広くする。
人生のあらゆる場面に対応した、素敵な101の言葉集。
吉報の配達人になると、人生が豊かになる。
本書で1番気に入った言葉。
「そういえばこんないい話があって」から会話を始めるといいんですって。
世の中には逆のことをやっている人が多いという指摘は激しく同意。
「吉報の配達人」
この言葉に出会えて良かった。
もっと意識しよう。
- 作者: 千田琢哉
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2011/11/29
- メディア: 単行本
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村上敦「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」
マイカーの利便性・経済性を損なう対策をして車利用を減らしつつ、郊外大型店進出を抑制しましょうという内容。
理想はわかるけど非現実的な主張。日本の主要産業、自動車の内需を減らす政策は、絶対に横槍入って握り潰されるw
いかにしてドイツのフライブルクは車社会から脱却したかについては本書を読んで頂くとして、参考になったのは「自動車産業の利益は地元に落ちない」という視点。
トヨタ系列の企業が立地していない地域で車を購入しても、地域経済が潤うことはほとんどない。これを意識している人もほぼ皆無。
道路は強力な壁
車は移動の自由を謳歌する一方で、歩行者は道路という壁に囲まれているという視点も面白かった。
私達は道を自由に歩く権利を奪わている。道の端を歩くことしか許されていない。道の大部分を占拠しているのは、車。
車社会が当たり前だと考える方に読んで頂きたい都市計画論。
ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか: 近距離移動が地方都市を活性化する
- 作者: 村上敦
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2017/03/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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大塚葉「社史・周年史が会社を変える!」
肩ひじ張らずに、読んでて楽しい社史を作りましょうという本。
表紙の色を6種類印刷したり、自分宛てのメッセージが入っていたり、写真多めの雑誌スタイルにしたりしてもいいんです!
社史作りを任されて途方に暮れている人にオススメ。
社史・周年史制作は企業の経営戦略である
- 社員に会社の価値や未来を理解してもらう
- 取引先や消費者に企業の魅力を伝える
- 学生にアピールして採用活動に役立てる
楽しく社史を作るにしても、発行目的と読者ターゲットを決めることは、最重要ポイントです。
社史なのにすごろく?
昔タモリ倶楽部で企業の社史特集をやってましたが、その中で会社の沿革をすごろくにして実際に遊べるようにしてたものがありました。
楽しく自由に作ってもいい時代なんです、今は。
まあすごろくを作るとデザイン制作費(金)はめっちゃかかりそうですがw
社史・周年史が会社を変える! 企業の未来を戦略的に設計する秘訣
- 作者: 大塚葉
- 出版社/メーカー: 日経BPコンサルティング
- 発売日: 2017/01/18
- メディア: 単行本
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