ひかるの読書

ビジネス書を中心に気に入った言葉をご紹介!

「非正規クライシス」

非正規公務員が公共サービスを担うのは限界

正規公務員が急速に減る中で生活保護世帯の増加や保育所不足で仕事が増え、人件費の安い非正規に頼らざるを得ない状況になっている。

非正規という雇用劣化が将来に希望が持てない人達を生み、それを国や市は黙認している現実。



非正規クライシス

非正規クライシス

岡田武史・羽生善治「勝負哲学」

指導の本質は、教えるのではなく引き出すこと

エデュケーションの語源はラテン語のエデュカーレで、まさに「引き出す」という意味。修正や矯正はできるだけ排除して、自分自身で気づかせる。


岡田監督の↑の言葉が良かったです。


将棋で大切なのは協力意識

将棋は全指し手の半分が相手の他力によるもので、無力の範囲が広い競技。すると闘争心の優先順位は低くなり、相手に展開を預ける委託の感覚や、相手との共同作業で局面を作り上げる協力意識や共有感の方が大切になる。


相手を打ち負かす考えは一切ない羽生さん、すごい。



勝負哲学

勝負哲学

雀ゴロK「フリー麻雀でもネット麻雀でも使える 現代麻雀最新セオリー」

ネット麻雀「天鳳」800万局のデータを解析して新セオリーを提言している本。文字数が少なくて平易な文章、そして著者の優しい人柄がにじみ出ていてすごく読みやすかったです。


常に完全1シャンテン維持は時代遅れ

現代麻雀だと「テンパイまでは目いっぱい構えて即リーチを打つ!」が主流です。しかしデータで局収支を比較すると、安牌を残した場合とほぼ一緒。アガリ率最大を優先するより、守備的要素を重視した方がよいという雀ゴロKさんの意見は勉強になりました。



フリー麻雀でもネット麻雀でも使える 現代麻雀最新セオリー

フリー麻雀でもネット麻雀でも使える 現代麻雀最新セオリー

羽海野チカ「3月のライオン」

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桐山の親友二海堂の名台詞。若くして亡くなった村山聖九段がモデルだから、いつか死ぬのではと思うと泣けてくる。




羽海野チカの『3月のライオン』を読みました。

ストーリーも良かったですが、それ以上に比喩の使い方が素晴らしかったです。

僕の大学時代の先生は「文学は比喩の芸術だ」と授業で言っていました。

ストーリー以上に比喩が大事。

ストーリーは1回読むと忘れてしまいます。

しかし素晴らしい比喩表現は何年経っても忘れません。

これは文学だけでなくマンガや映画でも同じ。

良くも悪くも、ストーリーの面白さだけでゴリ押しするマンガは非常に多く、それはそれで素晴らしいです。

3月のライオン』でも主人公 vs 川本家の父の話はサイコーにクレイジーでした。

父親がイカれてるのは百も承知ですが、あの話の流れから主人公の、





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公開プロポーズきたああああああああ!!!!!

には少年マンガ的なアツさを感じました。唐突過ぎて爆笑したけどwwwwww






前置きはこれくらいにして、「3月のライオン」における比喩の使い方を具体的に見ていきましょう。

取り上げるのはこの3つ。

  • 桐山零
  • 宗谷名人
  • 町の描写

桐山零

第1話冒頭のコマより。

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主人公桐山零は「ゼロ」=「何も持っていない」人間だと比喩的に表現しています。

文字通りゼロからのスタート。

そして彼の住む部屋を見ると、

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家具がありません。

着替えと飲み物と、将棋だけ。

完全にミニマリストですが、将棋だけはあるんです。

実は桐山零はゼロではない。

大切なものはすでに持っています。

それに気づいていないだけ。

それを第1話冒頭で暗示しているのです。





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3月のライオン』は第1巻裏表紙に書いてある通り、絶望の中にいる(と思い込んでいる)主人公が失ったものを取り戻していく物語です。

そしてそれは彼だけでなく、全ての登場人物にも当てはまります。

初見ではとても明るくて幸せオーラ全開の川本家。

しかしこの家族は娘3人+祖父といういびつな構成で、祖母と母親との死別、父親の不在(後に登場するが最終的には決別)という傷を抱えています。

桐山零と川本3姉妹、心に傷を負った者同士が出会い、大きな河の流れのようにゆっくりと再生へ向かいます。

そしてこの漫画の連載もゆっくり進んでいます。

2007年7月に連載が始まってるのに、2017年12月現在で13巻しか出ていない超スローペース。


つまり、作者羽海野チカの生き方が『3月のライオン』の比喩にもなっているのです。

HUNTER×HUNTERの冨樫先生を見習い、休んでもでいいから少しずつ前に進んでいこう」

そんなメッセージが隠されているのです。
(隠されていないw)




宗谷名人

3月のライオン』の作中で将棋が1番強く、体が1番白いキャラ。




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  • 見た目が若いときのまま
  • 十数年の年月その姿は変わることなく
  • 気配がない
  • 人ではない

というヒドい言われようwww

これが冒頭で触れた比喩で、要するに宗谷名人は人間ではないのです。

ここでいう「人間」とは、彼がゾウとかタヌキだという話ではありません。

人間としての生き方をしておらず、「他人とのコミュニケーションが取れない」=「人間ではない」という比喩になります。

宗谷名人はストレスが原因とされる突発性難聴を抱えています。

そのため時折耳が聞こえなくなります。

しかし当の本人は、「むしろ将棋に集中できるからありがたい」と発言しており、耳の病気には無関心。

他人とコミュニケーションを取る上で、耳が聞こえないのは致命的です。

そこに悩みを感じていないので、「人間ではない」キャラも致し方なしです。

また宗谷名人の難聴は不治の病ではなく、「ストレスが原因」とされています。

つまりストレスをなくすことで回復可能なことを示唆しています。

彼のストレスの元凶はまだ判明しておりませんが、ゆくゆくは描かれるでしょう。





ちなみに宗谷名人と桐山零には共通点があります。

両者とも将棋に関しては類まれなる才能を持っていますが、コミュニケーション能力には難あり。

桐山零は傷つきながらも前へ進み、他人とコミュニケーションを取ろうともがき苦しんでいます。

一方で宗谷名人は最初から取る気がありません。

ゆっくりと前へ進む人と、最初から諦めている人。

この違いが今後どのように活かされるのでしょうか。注目です。




町の描写

桐山零が一人で住む「六月町」はいつも暗くて汚い。

一方、川本三姉妹が住む「三月町」は爽やかでキレイ。

ここから、

  • 「六月町」=「闇」の比喩
  • 「三月町」=「光」の比喩

となります。それに加えて、

  • 桐山零の名前は「ゼロ」=「おまえには居場所も何もない」と開幕で義姉に言われる
  • 零くんは三姉妹の家で夕食をごちそうになる(他者とのコミュニケーションの始まり)
  • 現実の名人戦挑戦者決定リーグは6月に始まり3月に終わり、そこで優勝すれば名人と対戦可能

という情報を組み合わせると、

  • 「六月」=スタート地点の比喩
  • 「三月」=ゴール地点の比喩

となります。ゼロの存在で闇の中にいる主人公が、他者とのコミュニケーションによって光を得るというストーリー構造が見えてきます。

しかし「三月」は単なるゴールではなく、新たなるスタートでもあります。

例えば卒業。

ゴールをイメージさせますが、同時に次のステップに進む際のスタート地点でもあります。

前述の名人戦挑戦者決定リーグ(予選ラウンド)も3月に決着が着くと同時に、現名人との七番勝負(決勝戦)の始まりを想起させます。

終わりの始まり。

1周して同じ所に戻ってきますが、その時の自分は過去の自分よりも成長しているのです。

このマンガの最終回、あるいは途中の段階で描かれるのは、3月に名人戦挑戦者決定リーグで優勝し、高校も卒業した主人公が宗谷名人との七番勝負に挑む姿でしょう。

人間的に成長した主人公 vs 将棋最強の宗谷名人との死闘。

何年後になるかはわかりませんが、それが描かれる日まで羽海野チカを応援していきたいですね。



3月のライオン (1) (ジェッツコミックス)

3月のライオン (1) (ジェッツコミックス)

G・ウザク「麻雀 傑作何切る300選」

麻雀 傑作「何切る」300選

麻雀 傑作「何切る」300選

牌効率の基礎や、3345と3456のどちらが形として優秀かを学べるので勝率アップにつながる。

赤ドラを重要視しすぎてる部分はあるが、それを活かせば打点アップにつながるので問題ない。

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Q001〜003は似ているが答えは全て違う。
麻雀中級者にオススメの1冊!

「不可能を可能にする大谷翔平120の思考」

340冊目到達。えらいえらい(*^^*)
350冊目指して頑張ろう♪

できるとするのは自分、できたと見るのは他人。

投手専念か、打者専念か。どちらかを諦める考えに苦痛を感じていた大谷に、「二刀流」という斬新でポジティブなプランを日本ハムは提案した。

何事も、やってみてから考える。
ざわつく声は、もうない。


相手の長所を見つける

大谷翔平は動画によるフォーム研究に余念がない。自分ではなく他選手の動きを観察し、真似すべきポイントを探している。

勝つためだけの目線なら、相手打者の短所、相手投手の癖を見抜きたいところ。

しかし大谷は相手の長所を見ている。

全ての要因を自分自身に求める強さ。大谷にはそれがある。


目標達成の秘訣はゴミ拾い

大谷は高校時代から、当時の目標「160キロ」「8球団からドラフト1位」にたどり着くために必要な要素として「ゴミ拾い」を挙げていた。

技だけが優れていても、一流にはなれない。ちっぽけなゴミひとつにも人生観が反映される。

大谷翔平の成熟っぷりに驚かされる本です。



不可能を可能にする  大谷翔平120の思考

不可能を可能にする 大谷翔平120の思考

棚橋弘至「棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか」

ポジティブシンキングの前にすべてを受け入れる

棚橋弘至棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか」を読みました。前向きで明るい性格な上にキッチリ批判もするので、読んでて清々しい気持ちになれる名著でした!

冒頭の1文も名言ですし、それ以上にシビれたのはハッスル時代の小川直也に対する批判。

「ハッスル」にはリスペクトがなかった
プロレスの受け身は柔道とは全く違う技術が求められる。小川直也さんの試合には「相手を輝かせる」という要素はなかった。オレのほうがすごい、オレのほうが強い―それだけだ。

そんな小川と棚橋は、2004年に新日本のリングで対戦します。リスペクト精神のない小川をリングに上げてしまったことに悔しさを滲ませ、「新日本のリングの上でハッスルポーズをさせなかったのが精一杯の抵抗だった」と書いてますからね。泣ける。

それだけ当時の新日本が停滞していたんでしょうし、僕なんか棚橋に感情移入しすぎて「小川テメーふざけんなよ!」って気持ちになりました(笑)



もう1つ秀逸だったのは、昔ながらの黒パンツを履いて大活躍の柴田勝頼に対する評価です。要約すると、

柴田勝頼のプロレスが評価されたのは、棚橋やオカダの(派手できらびやかな)プロレスが軸にあるから。だから「ちょっと昔の新日本」のような試合がウケる土壌があるのだ。

しかし柴田のガチだけを追求する試合には「ネクスト」がない。お客さんは際限なく激しさを求め、選手も危険技を連発する結果、凄惨な試合がリング上で繰り広げられる。

僕はその先の、「この闘いはいったい、どうなっていくんだろう?」とお客さんの興味をかきたてるところがプロレスの本質だと思っている。柴田のバチバチプロレスに「その先」はあるのだろうか。


そんで実際に柴田は2017年4月に硬膜下血腫で手術を受けてますからねぇ・・・
それを2014年の段階で予見していた棚橋はスゴいと思いましたし、プロレスとは何なのかについて本書で学ぶことができました。



っていう話を妻に熱く語ったら「声が大きい!うるさい!」って言われたので、「トランキーロ!焦んなよ!」と言い返してやりましたw