勝間和代「2週間で人生を取り戻す! 勝間式汚部屋脱出プログラム」
はじめに
あるテレビ番組に出たときにも、私がなかなか家を片付けられないという話をしたら「それは、セックスしていないし、愛が満ち足りていないからよ。だから、ものに頼るし、ものが片付けられないの」という指摘をカウンセラーさんから受け、あまりの的確な指摘に苦笑いしながら、さすがに「その通りです」とはいえずに恐縮していたのです。
そう、汚い家で暮らすと、どんどん、自分の「自己効力感」(自己に対する信頼感や有能感を表す心理学用語)が落ちてきます。
自分の価値が、特に恋愛市場で、全くない気がしてきて、
・家が汚いから自信がない→自信がないから、恋愛に積極的になれない
という悪循環を起こすのです。
(中略)
47歳のおばさんである私が「断捨離」をすることで、いったい人生に何が起こったのか……、ぜひ、最後まで楽しみに読んでみてください。
「目標」を達成するには、努力や意志の力ではなく、「仕組み」を作ることが大事
私たちは、
・愛用している2割のものはボロボロ
・使わない8割のものは新品のままスペース占有
という状況に置かれていることが多いのです。(中略)
とにかく、やることはひとつで、
・活躍しているものたちには、もっとお金とスペースを配分し
・活躍出来なかったものたちは、捨てるか、活躍先を探す
という当たり前のことです。
効率的という名の「ものぐさ」の罠
冷静に考えれば、そんなにフィットネス器具があっても、意味がないと分かります。
でも、なぜ次から次へと買ってしまうのかといえば、「これが家にあれば、いつでも運動できる」「これなら、ラクに身体を鍛えられそう」といった「安心」や「保険」を買っているのです。
そして、それを生み出しているのが「ラクしてやせたい」「何もせずに安心したい」というものぐさ心です。
私はこれを「ものぐさコスト」と呼んでいます。
ものやサービスを作る人たちは、みんなこの「ものぐさコスト」に注目し、便利そうで効率的に見えるものやサービスを次々に作っては、ものぐさな人からお金を取ろうとしていますので、気を付けないというどんどん、術中にはまっていきます。
買い物も「まとめ買い」は非経済的
1週間に1度のまとめ買いだと、「せっかく安いスーパーに来たからあれもこれも買っておこう」と、結局、不要なものまで買いこんで腐らせることが多いのではないでしょうか?
それよりも、何か必要が生じるごとに、近所のお店に行って必要なものだけを買うほうがトータルでは支出が少なくなるのではないでしょうか?
(中略)
よく言われることですが、本やCDも、「オンデマンド」になると、売り上げが下がります。
もともと、本やCDは、買っても読まない本、聞かないCDをみんなが買っているから、です。
それが、オンデマンドにした途端、みんな不要なものを買わなくなるので、売り上げが下がるのです。
だから、生活も、必要な時に必要な分だけ買うというような、「オンデマンド」にしたほうがよいのです。
3000円以下のものだと、私たちはつい買ってしまう
それがジワジワとたまっていく。
1万円以上だと、買う前にちょっと考えるし、そんなに頻繁には買わないのですが、3000円以下のものは、危険です。
ちょっとしたフィットネス器具なども、3000円以下だと、するっと買ってしまい、意外にスペースを取ったりする。
居間にもいくつかあったのですがすべて捨てました。
ともかく、買いやすい値段だからとあまり考えないで買ったものは、ほとんど捨てることになると、今回学びました。
余裕率
私もそうでしたが、本末転倒なのは、外で仕事をしなければならないほどに、仕事をつめこむことです。
収納も、7割か8割にして余裕を残しておかなければ、収納の機能がなくなってしまうように、仕事も、時間に余裕を残しておかねば崩壊します。
最初から決まった仕事時間としてあてられるのは、だいたい5割程度じゃないでしょうか。
それぐらいの余裕を残しておかないと、それこそ片付けをしたり、調べ物をしたり、人に会ったりする時間がなくなってしまいます。
5割の余裕を残しておくと、一見、仕事が遅くなるように思うけど、実はそのほうが生産性が高くなるのです。
時間も収納と一緒で余裕率は本当に大事です。
汚部屋にいるリスク
汚い部屋に住んでいる最大のリスクは「自分を信じられなくなる」ことだと思います。
要は、自己管理が出来ない、という事実を常に目の前に見せ続けられるわけです。
(中略)
私たちの運は、そのほとんどが「人とのゆるやかなつながり」が運んできてくれるのです。
そのゆるやかなつながりが、「汚く部屋に住んでいる」という小さな要因で阻害されてしまうのです。
家にも呼べないし、また、もちろん、自分がそういう汚い部屋に住んでいることも打ち明けられません。
(中略)
すっきりと片付いた家は、毎日の生活において、余計な苦労がなくなります。
ものをよける手間も、ものを探す手間もありません。
人間の意志力は有限ですから、せっかくの意志力を「余計なものと格闘する力」に使ってしまうと、肝心の、他の人とのつながりに活用できなくなります。
さらに、自宅に戻ったときにもおちつかない家になるので、ついつい、家族が家に戻りたくなくなって、家族の時間も減っていきます。
いま、私は家が世界中で一番快適な空間です。
だから、ちょっとでも時間があれはすぐに家に戻りますし、ぐっすり眠れます。
家に居ると、新しい仕事のアイデアも、家事のアイデアも無限に出てきます。
そんな状態になったことは、生まれて初めてです。
家事の重要性
家事は、やろうと思えば誰でもできるのです。
仕事がまっとうにできる人なら特別なスキルはいらない。
計画をたてたり、段取りを組んだりするスキルを応用するだけです。
できるのに、重要視していないから、労力を使っていないのです。
(中略)
多分、多くの人もそうじゃないかと思うのですが、社会人になってこの年まで、自分の中で主従が逆転していたのは、「何のためにお金を稼ぐか」ということです。
本来は、毎日の衣食住を豊かなものにして、自分や家族の幸せのためにお金は稼ぐもののはずなのに、いつの間にか主従が逆転し、お金を稼ぐことにやっきになるあまり、衣食住や幸せがおろそかになっているのです。
そして、結果的に、すっきりした家でストレスなく過ごし、ゆっくりと寝て、健康的なものを食べていれば、仕事も人生もうまく回り始めるのです。
ものごとには、悪循環か好循環しかありません。
ともかく、まずは、ものを捨てるところから始めましょう。
それだけで、人生の好循環が始まります。
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/04/27
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