水津陽子「日本人だけがしらないニッポンの観光地」
アジアの常識は、「桜と言えば韓国」!?
日本の桜の名所として有名な奈良の吉野山、桜の本数は3万本です。
一方で韓国随一の桜の名所、鎮海(チネ)という町の桜の本数は、10倍の34万本なんだとか。
将来的に韓国の桜の情報が広く伝わっていけば、そのうち「桜と言えば韓国」と言われる日が来るかもしれません。
韓国には、桜を看板にした4日間のツアーもあります。
日本では考えられませんね。
このくだりを読んで思ったのは、鎮海=大企業で、吉野山=中小企業の図です。
桜の本数がどうのこうのと言っても上には上がいて、その競争は果てしなく続きます。
そうなってくると吉野山の方は数で負けてるので、単に桜がありますとアピールするよりも、別の道を見つけて鎮海との差別化を図ったほうが勝機があります。
という流れが、スケールメリットのある大企業と、ユニークさやフットワークで独自性を主張する中小企業との比較につながると思いました。
この点に関しては、
仲山進也さんの本にも詳しく書いてあります。
では桜だけではなく観光資源全体を考えたとき、日本は今後どういう風に動けばいいのでしょうか?
以下の文章は城についてのものですが、全てのものに当てはまると思います。
ロマンチック街道にはノイシュバンシュタイン城のほか、中世のおとぎの国と称されるローテンブルクなど、まるで宝石を散りばめた首飾りのように魅力的な観光資源が連なっています。
ファンタスティック街道には世界遺産に隣接する街が6つも点在します。
街道を「中世」というストーリーとして魅せる舞台に仕立て、新たな観光を提起するドイツ。
片や、城の外観と天守閣の眺めのみで、城が背負う歴史や地域固有の文化などのバックグラウンドが見えない「歴史的ハコモノ」の日本の城。
言ってみれば日本の城は、先人が残した遺産を見世物として展示しているだけ。
文化財として保護はするものの、その価値を磨くことも活用することもしていない。
原石に近い宝石、蔵の中にしまわれて埃を被っている骨董品のようなものです。
ストーリー、魅せ方。
この考えは非常に大事になってくると思います。
企業の新卒採用向けPRでも、売上げがいくらで環境に対してどうのこうのという説明も魅力的です。
しかしそれ以上に、「わが社は○○な困難に遭ったが、環境に配慮して○○に変わることを決断した結果、おかげさまで数字は右肩上がりです」というストーリーで魅せた方が、PR効果は高まるでしょう。
〈メモ〉
パワースポットの宝庫、山形県遊佐町
標高2236m鳥海山中腹にある「胴腹滝不動堂」「永泉寺(ようせんじ)」
- 作者: 水津陽子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2014/09/20
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