ひかるの読書

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速水健朗「バンド臨終図鑑 ビートルズからSMAPまで」

チェッカーズ

彼らが解散を決意したのは、解散の約1年前。

年末から翌年頭のレコーディング中に、フミヤからメンバー全員の前で「解散したい」という旨が伝えられた。

それに同調したのは武内、尚之、大土井の3人。

鶴久、徳永の2人は保留、高杢は解散に反対だったが、スリースタープロの社長の判断により、約1年の残りのスケジュールをこなし、年末の紅白で解散すると決定が下された。

フミヤと高杢は、幼稚園時代からの幼なじみで、その関係は子分と親分というものに近かった。

バンドを始めて以後、メインボーカル・フミヤの人気によってバンドは成功を収めていき、2人の関係性は逆転。

チェッカーズの解散の原因とは、この2人の関係性、権力関係の変化が影響していたのだろう。

高杢の暴露本には、フミヤがバンド内における権力者となり、ライブの構成などを独断で変更したことなどへの批判が書かれている。

だが、その一方で、解散直前の1年間は、高杢がフミヤを「タバコ買って来いよ」とあごで使っていたことも綴られている。

フミヤはバンド内の人間関係に気を使い、高杢のわがままを聞くことで、暴発を抑えていたのだ。

こういった人間関係を見ると、決してフミヤがバンド内の専制君主ではなかった事実も浮かび上がる。

筋肉少女帯大槻ケンヂは、チェッカーズの解散について以下のような感想を述べている。

「長年同じ釜の飯を食い、下手すりゃ親兄弟よりも多くの歳月を過ごしたバンド仲間との訣別は、愛と憎しみが複雑に交錯し、ほどけない」。

高杢とフミヤの関係は、まさに愛憎が複雑に交錯したものだった。

解散前、高杢の方がバンドを辞めようか悩み、フミヤに相談を持ちかけたこともあったという。

フミヤは「俺、モクがいないチェッカーズなんて考えたことないよ。(中略)あんたがいなければチェッカーズじゃないってこと」と引き留めている。

こうした2人の友情は、他のメンバーとのそれよりも格段に深いものだっただけに、すれ違い始めてからの憎しみは、より深いものになったのだ。

決して再結成しないであろうバンドランキングというものが存在するなら、チェッカーズは必ずその上位に食い込むはずだ。

高杢が書いた暴露本、そして「クロベエを送る会」のときにテレビのワイドショーが彼らの確執騒動を執拗に報道したこと。

この2つがチェッカーズの傷を大きくした。

しかし、06年、NHK紅白歌合戦で7人が一列に並んで以来、14年ぶりにメンバー全員が集結する機会が訪れた。

それは「CRぱちんこチェッカーズ」の盤面での話。

再結成は実現しなくとも、パチンコ化は実現するという現代を象徴する出来事である。


オチが秀逸すぎwww

古今東西のロックバンド、ポップスバンドの解散の理由をまとめた本です。