ひかるの読書

ビジネス書を中心に気に入った言葉をご紹介!

古舘伊知郎、齋藤孝「言葉のおしゃれデスマッチ! 日本語「息」「活」「粋」(イキイキイキ)」

質問上手はコミュニケーション上手

古舘 格闘技っていうのは昔から好きで、普段から見ているから、あまり準備しなくてもよくて、慌てて資料整理する必要がないんですね。

でも、普段見ていないものの実況を単発でやるときは、ある程度のことを知っておかないと実況ができないから、大慌てで勉強するんですよ。

司会なら大丈夫なんだけど、実況は基本的にある程度の知識を仕入れておくんです。

知ったうえで自分は知らない振りをして「それでどうなんですか?」って解説者に聞くのが気持ちのいい振り方なんです。

本当にわかってなかったら、怖くて聞けないですよ。

齋藤 そうかあ。知ってたうえで振るんですね、知らないことを聞くんじゃダメなんだ。

古舘 そう。ある意味でお芝居なんですよね。

股関節と言語のふか〜い関係

古舘 股関節と声に出すこと、股関節と言語っていうのは、関係があるんじゃないですか。

先生も「齋藤メゾッド」でこうやって股関節を開く運動にいくじゃないですか。

齋藤 そう、股関節にいきますね。

股関節はかなり重要だと思っているんです。

股関節が今の若い子は圧倒的に硬くなっているんですね。

それと、股関節と同時に肩胛骨かなと思う。

その二つが硬いと、全体的に体が外に開かなくなるんですよ。

どうしても閉じる感じになる。

イチローが準備運動でやっているような相撲の肩入れやシコをやると、股関節と肩胛骨が柔らかくなるんです。

そうすると、息が深くなって、声に外へ向かう張りが出てきます。

古舘 ウーン、やっぱり関係があるんですね。

齋藤 深いつながりがあるんです。

心に入り込むイメージ系の言葉

古舘 今まで僕が実況をやるといつも、これは有り難いことなんだけれども、翌日の新聞に「古舘、うるさい、黙らせろ」とか出る。

世界陸上女子マラソンの実況をやったときも、「お前のトークショーじゃない」とか、「完全にボリュームを絞って、映像だけ見た」とか。

毎回必ず出るのは、嬉しい反面ちょっと傷ついたりもするんだけれど、脳の写真を見たときに、はっきり分かったんです。

情緒系が強い人は、正確じゃないけれど、脱線したり、いろんな言葉を駆使したりする僕の実況が好きなはずなんです。

けれど、理数系の人とか左脳系、理屈系の人は、正確じゃないし、いい加減な事を言ってる上に、言葉数が多い僕の実況が許せないと思うんですね。

だから、僕の実況を面白いって言うか、うるさいって言うかは、僕の脳から発する一つのスタイルが影響しているのかなあと思ったんですよ。

齋藤 古舘さんのは、右脳で作られるイメージ系の言葉ですよね。

正確な描写をするというよりは、その印象をひとつかみにしたような、イメージの言葉ですよね。

それは、キャッチフレーズとして非常に強くて、そういう言葉のほうが、分析した言葉よりも、ガーンと入ってくる。

「鉄の爪」みたいな言葉はイメージ映像として入ってくる。

つまり、「イメージ言語」ですから。

そういう言葉の方がスパーンと入ってきて動かない。

力が強くて余計入り込まれすぎるから、そのノリを楽しめない人は辛いんでしょうね。