小林重順「実践カラーデザイン」
商品イメージなどの計画に役立つ「イメージスケール」(ダンディな色の組み合わせ、ナチュラルな色の組み合わせなどを体系化したカラーチャート)を作った小林重順(こばやししげのぶ)さん。
ある街には歴史の中で育まれた色のアイデンティティがある(○○の街は白を基調とした建物や看板が多いなど)と、別の本で指摘しています。
この本では色よりもかたちや構図に注目し、「かたちのイメージスケール」「素材のイメージスケール」を提示しています。
個人的に面白かったのは、みかんを並べて構図を考えるところと、名画・名作の構図を分析したところ。
前者は、モノクロとカラーの場合でバランスやリズム、まとまりや際立ちなどが変化するというのが面白かったです。
例えば横に2個並んだみかん。
モノクロ(色が同じ)だと静的なバランスを保っていますが、左が濃いオレンジで右が薄いオレンジだと、バランスが左→右か、右→左へ動きます。
このような分析をモノクロ、カラーで16パターン分析をしていて勉強になります。
<避けたいこと>
- 下部に3~4個まとまると、重苦しい。
- 中心に1個置くと、空間性を失う。
- かたまりすぎると、力感を失う。
- 直線的な構成は、動きを止めてしまう。
みかんの置き方で構図をとらえてきたが、力感やバランスを考えるうえでは、ひらがな文字もすぐれた教材といえよう。
<実践のヒント>
- 配色と構成テクニックを、<イメージ伝達>応じて使いわけよう。
- 絵画や彫刻に秘められたテクニックをさぐる。また、ディスプレイや建築の内外装、造園などにも構図のアイデアがある。
次に名画の構図分析について。
ベラスケス「マルガリータ女王」の分析。
ピラミッド型の安定感
ピラミッド型の構図は安定感をもたらす。しかし、やや右に傾く校正を、縦線が支え、手にもつ布でバランスが整えられている。左右に広がる///と\\\のリズムは、王女としての存在感を訴え、豪華さ、権威や気高さを保っている。同系色のR系・YR系でまとめられ、トーン効果。濁色で統一感がでている。手にもつ布は清色で、人の注意をひく。
- 作者: 小林重順,日本カラーデザイン研究所
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/12
- メディア: 単行本
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