ひかるの読書

ビジネス書を中心に気に入った言葉をご紹介!

古舘伊知郎「喋らなければ負けだよ」

100冊目到達。えらいえらい(*^^*)
110冊目指して頑張ろう♪

* 苦手な相手には逃げずに相手の懐に飛び込む戦法
アントニオ猪木さん曰く、プロレスラーがキックボクサーと試合をする時、パンチキックが怖いからといって間合いを離すと、ボクサーはガンガン殴ってくる。

そんなときはレスラーの方から間合いを詰めると、今度はボクサーの方がビビる。

たとえカウンターが当たっても距離が近すぎて腕が伸び切らないからダメージが少ないし、その間に腕をとったり関節を決めたりすればレスラーは勝てるそうです。

1を提供して9の災厄を免れる。どんな場合でも、苦手な相手ほど逃げずに自分から接近していったほうが意外に安全なのです。

たとえば相手の専門分野がよくわからないとき(学者や文化人、ビジネスなら下調べが不十分な先方の会社)に、この戦法は使えます。

「すみません、ボク全然おたくのこと知らないんですよ」と、いきなり至近距離で突っこんでいき、「でも教えて下さいよ、この際」と、思い切って丸腰になってみる。

相手は「知らない」と言われてムッとなるけど、その分こっちが前のめりになって、目を見て一生懸命「教えて下さい」「お願いします」というタッチでガンガン攻めていくと、相手はパンチを出せなくなる。

「ホントに知らなくてすみません」と正直に言いつつ、時おり「あのー、前々から思っていたんですけど、○○○○の問題についてはどう思われますか?」という一般論の質問を混ぜるのも良い。

その人とは直接関係なくて、ただ前々から自分が興味を持っていた問題などを一般論として持ち出すのだ。

すると相手は錯覚して、(こいつ、全然知りませんって言っておきながら、前々からオレにその質問をしようと楽しみにしてたのか)と勝手にいいほうに解釈してくれて(なんだ、多少はオレのこと知っているじゃないか、ははは……)と段々ごまかされてくる。

本当に全然知らないし、かつ正直に何度も「知らないんです」と言っているのに、相手はあまりの距離の近さ、心理的な距離の近さに幻惑されて(こいつ、なかなか分かってるじゃないか)と評価までしてくれる。

結果、自分は危機を脱するし、うまく行けばビギナーズ・ラックで得をする。

自分の喋っている言葉を、あたかも第三者が見てるような客観的な形で釈明する「中継法」

云わば中継法は、ドラマの台本におけるト書きと同じだ。

「あの……と思わず口ごもる宏幸。しかし、その態度は真剣である」

というふうに、相手に向かって上手く伝えられない気持ちを変わりに自分に関するト書きのような調子で喋ることで、別アングルからの伝えるという手段なのだ。

「ごめん、なんでこんな簡単なことが言い出せないのか、自分で自分が情けなくなる。そんな勇気もないのかと思う。……つまり……ええい、ままよって気持ちで告白しちゃうけど……好きなんだ、キミが」

何を喋ればいいかわからないとき、どう気持ちを伝えれば相手に喜ばれるかわからないときは、ひたすら自分のことを話せばいい。

少なくとも、自分のことに関してだけは、だれよりも熟知しているのは自分だろう。

(中略)

さらに発展させると、相手の機微まで勝手に予測して、もしドラマなら相手に関して書かれているはずのト書きまで中継するというテクニックがある。

たとえばトーク番組だと、

「……でも、はっきり言って同棲してるんでしょ? オーッと、これは痛い切り込みだあ〜」

とか、

「ところで私生活のほうですけど、……おや!? これだけは聞かれたくなかったという苦渋に満ちた表情だぁ」

なんて言うと、自然に相手が笑い出して、スラスラと何でも喋ってくれるケースが多い。

いずれにしても、実況口調の有無などを全く抜きにしても、中継法が話をスムーズに進めてくれるうえでの重宝な武器の一つであることには変わりがない、とボクは断言する。