ひかるの読書

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川崎一洋「弘法大師空海と出会う」

川崎一洋「弘法大師空海と出会う」を読みました。

人間には本来、仏としての性質が備わっています。
しかし無知や妄想によってそのことに気づいていません。

心の眼を開き、自分は仏と変わらない存在であることを認識する。
そのための教えが、空海の説く密教です。



空海はみずからの心を洞察し、その本質を把握することが悟りだと説いています。

ただし現実を否定しない。
他者を否定しない。

現実の世界がそのまま悟りの世界であり、草や木なども含めたすべての生き物に仏の特性が備わっていると考えます。

現実の世界の上に悟りの世界があるのではなく、それらが横並びで互いに混ざりあっているイメージを空海は持っていました。



上と下ではなく、表と裏のイメージ。



己の欲や怒り、煩悩を無理やり取り除くのではなく、その価値を認め肯定する。

そうすれば悠久の時を経ることなく、今すぐにでも仏になれると空海は説いています。

弘法大師空海と出会う (岩波新書)

弘法大師空海と出会う (岩波新書)