ひかるの読書

ビジネス書を中心に気に入った言葉をご紹介!

高城剛「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?」

ドローン市場の7割を押さえているのは中国企業

ドローンの現状と未来、世界と日本のドローン情勢について書かれた本です。

その上で、今の日本に足りないものは何なのかを分析しています。



現在ドローン業界の首位を走っているのは、アメリカではなく中国です。

中国のDJIという会社が、シェアの7割を占めているんだとか。

高城さんが言うには、今の中国のドローン業界には全世界から優秀な頭脳が集まっており、また大量の投資マネーも流れてきてるので、その規模とスピード感が尋常ではないとのこと。

その中国の凄さを高城さんが実感したのは、2015年に香港科技大学の教授&DJIの会長でもある李さんと食事をしたときのことです。

食事のあと、李さんは高城さん達に対して、

「香港に来て、一緒にドローン関連の会社を作らないか?」

と申し出ました。

しかも、すぐに数億円規模の資金調達はできるので、翌月に会社を立ち上げてほしいと高城さん達にお願いしたそうです。

これまで一緒にビジネスをしたこともない人物に、数億円規模の資金を提供するというオファーとこのスピード感こそが、今の中国である。

おそらく、こうやって世界中の才能が中国に協力しているのだろう。

僕が中国に脅威を感じているのは、この「スピード」と「博才感」だ。 人口や国力、資金ではない。

一か八かに賭ける気概を世界で最も持っており、また強力な博才を持つ人物も多い、と、たくさんの人たちと会ってみて感じる。


そして、この一か八かに賭ける度胸を失ったのが今の日本だと、高城さんは嘆いているのです。


他国に比べたら低い日本の労働効率

2015年の夏、高城さんの元にスペイン人やイタリア人の友人が遊びに来ました。

そこで話は夏休みの長さの話になり、高城さんの日本人の友人は、「今年の夏休みは、有給休暇1日と土日の計3日だけ」と言ったとき、外国人の全員が驚いたそうです。

一方のイタリア人。
夏休みはなんと1か月!

しかも休暇中に会社のメールをチェックすると、その分だけ休暇が伸びるという(笑)

今度は日本人の友人が驚いたそうです。

ちなみに、このようなことはイタリアやスペインのような南欧企業に限らず、勤勉のイメージがあるドイツ企業でも同じだそうです。

そして、その休みの間にアイデアを醸成し、心身ともにリフレッシュをするのです。

そしてスペイン。
高城さんは2009年にスペインへ引っ越したのですが、そこで知ったスペイン人のライフスタイルは衝撃的だったそうです。

スペイン人の出社時間は、日本と同じ朝9時。

ところが、彼らは出社してすぐに、全員でカフェに行き、朝ご飯を食べる。
昨夜のサッカーの話などをしながら食事を平らげると、もう10時だ。

そこでようやく、2時間ほど働く。
そして12時過ぎになると昼食を食べ、さらに自宅に戻ってシエスタ(昼寝)だ。
16時半になってようやく会社に戻り、18時半まで2時間働いてから退社する。

実質的な労働時間は一日に4時間ほど。
しかも、月曜日の午前と金曜日の午後はほとんど仕事をしていない。

平均的な日本人に比べると、労働時間は圧倒的に短いのだ。


ところが、日本とスペイン・イタリアの1人当たりのGDPはあまり変わらないそうです。

IMF発表のデータによると、2014年における1人当たりの名目GDPは、

  • 日本 36,222ドル
  • イタリア 35,335ドル
  • スペイン 30,272ドル

またOECDが発表している、就業1時間あたりの労働生産性の調査結果によると、

  • 日本 41.3ドル
  • スペイン 52.1ドル
  • イタリア 48.5ドル

要するに、日本人は長時間働いているのに、稼ぎはイタリア、スペインと大差ないのです。
そして日本人は、安い時給で長時間労働をしているのです。



この話は重く受け止めないといけません。

長時間働くのが素晴らしいなんてのは、ちゃんちゃらおかしいです。
心の底から働きたいと思ってる人は、長時間働けばいいでしょう。
それは何の問題ではありません。

問題なのは長時間も働きたくないのに、職場の空気、大量の仕事などの理由で働かざるを得ないところにあります。

その上仕事の効率が悪く、家族と過ごす時間もなく休みも少ないという状況。

こんなのはホント嫌です。
それが当たり前だと思う空気はさらに嫌です。

いい加減、給料よりも休暇を主張する世の中になってほしいものです。


「モノのインターネット化(IoT)」と「インターネットのモノ化」

「モノのインターネット化」とは、建設機器メーカーのコマツのように、ショベルカーやブルドーザーにGPSやセンサーを組み入れ、インターネット経由で稼働率や部品の劣化状況を管理することを指します。

他にはテレビやエアコンをインターネットに接続し、外出先から録画予約をしたり、帰宅時間にあわせて室温を調整したりすることができます。

現在ブームになっているのが「モノのインターネット化」だとすると、次にブームになるのは「インターネットのモノ化」だと高城さんは主張しています。

庭に綺麗な花が咲いていました。
それを友達に見せたいとします。

今はスマホで写真を撮って、メールに写真を添付して友達に送ります。

しかしドローンの出現によって、その花を実際に摘み、友達にドローンで届けることができるようになります。

つまり、リアルなモノのシェアが急増することになるのです。

すなわち、ドローンがもたらす今後の社会変化は、今よく言われる「モノのインターネット化」ではなく、その逆の「インターネットのモノ化」という感覚でとらえられるだろう。

現在、写真やファイルを電子メールに添付するように、焼きたてのチーズケーキから庭先の花までを、ドローンに「添付する」未来がやってくるのだ。


と高城さんは推測しています。

個人的には、もしそういう時代が来ると空はドローンだらけになり、景観面で何らかの横槍が入ってくると思います。

1億2000万個のドローンがうじゃうじゃ飛んでたら、ちょっと気持ち悪いんじゃないでしょうか。

モノのリアルなやり取りは、すごく夢のある技術です。宅急便とは違って瞬時に行える点がすごいと思います。

しかしそのうじゃうじゃ感を、私たちは素直に受けとめることができるのか。

ドローンに対して批判するわけではないですが、乗り越える壁はいくつかあるなというのが僕の感想です。



というわけで、ドローンについてもっと知りたいと思った方は、ぜひこの本を読んでみてください(*^^*)